2026/08/08 09:47
今回は、私たちが開発した「PENTA」について、商品の機能を紹介するだけではなく、なぜ私たちがPENTAを作ったのかを、開発側の視点からお話しします。
PENTAは、マジシャンが普段から使う「ペン」という日用品に、マジックのための機能を組み込んだ多機能ペン型ギミックです。
私たちがPENTAで目指したのは、単純に「たくさんのマジックができるペン」ではありません。
目指したのは、
「マジック道具を持っていることを、観客に意識させないこと」
でした。
⸻
マジック道具は「隠す」だけが答えではない
マジック道具を作っていると、どうしても「どうやってギミックを隠すか」を考えます。
もちろん、それはマジックの基本です。
しかし、私たちはあるとき、逆の発想をしました。
「隠す必要がないものに、ギミックを入れればいいのではないか?」
例えばペン。
ペンは、マジシャンが観客の前で持っていても何も不自然ではありません。
メモをする。
サインを書いてもらう。
カードに何かを書いてもらう。
紙に説明を書く。
こうした行動は、マジックとは関係なく自然に成立します。
だったら、その「普通のペン」の中にマジックの機能を入れてしまえばいい。
これがPENTAの開発を始めたきっかけの一つでした。
⸻
「マジックを始めます」と言わなくてもいい
マジックを見せるとき、多くの場合は専用の道具を取り出します。
カードを出す。
コインを出す。
ギミックを出す。
その瞬間から、観客は「何かが始まる」と感じます。
もちろん、それもマジックの魅力です。
しかし、日常の会話や食事、バー、仕事の場などでマジックをする場合には、もっと自然な入り方があります。
例えば、普通にペンを取り出す。
観客に渡す。
何かを書いてもらう。
そのままマジックが始まる。
観客からすれば、
「マジックを見せてもらった」というより、「普通にペンを使っていたら不思議なことが起こった」
という体験になります。
私たちは、この自然さに大きな価値があると考えました。
⸻
PENTAは「ペン型ギミック」ではなく「持ち物そのものをマジック道具にする」という発想
PENTAの商品名を見て、
「ペン型のマジック道具」
と思われる方もいるかもしれません。
しかし、開発者としては少し違う捉え方をしています。
私たちが作りたかったのは、
「マジック道具としてペンを持つ」
ことではありません。
「普段持っているペンを、そのままマジック道具にする」
ことです。
この違いは、実際に使ってみるとかなり大きいと思います。
マジック専用の道具なら、当然「マジックをするため」に持っていく必要があります。
PENTAなら、普段からペンとして持っておける。
つまり、
マジックをする予定がない日にも、マジック道具を持っている状態を作れる。
これがPENTAの面白さです。
⸻
「何種類のマジックができるか」だけでは考えていません
多機能マジック道具を見ると、
「何種類の現象ができるのか?」
という部分が気になると思います。
もちろん、それは重要です。
しかし、私たちはPENTAを開発するとき、機能の数だけを増やすことは考えていませんでした。
むしろ重要だったのは、
「その機能を、本当に普段使うのか?」
ということです。
どれだけ多くの機能が入っていても、使う場面がなければ意味がありません。
だからPENTAでは、
「ペンを使う」という日常的な行動から、マジックにつなげられることを重視しました。
⸻
マジシャンにとって「持ち歩けること」は、想像以上に重要
私たちはこれまで、さまざまなマジック道具を開発してきました。
その中で強く感じるのが、
「すごい道具」と「実際によく使う道具」は、必ずしも同じではない
ということです。
どれだけ強力なマジックができても、持ち歩かなければ使うことはできません。
逆に、毎日ポケットに入っているものにマジックの機能があれば、使う機会は自然に増えます。
だからPENTAでは、
「マジックをするために持ち歩く道具」から、「普段持ち歩いているからマジックができる道具」へ。
という方向を目指しました。
⸻
ここで、実際のPENTAを見てください
ここまで読んで、
「実際にはどんなペンなのか?」
と思った方も多いと思います。
PENTAは、マジック道具らしさを前面に出すのではなく、日常の中に置いても違和感なく使えることを大切にしています。
だからこそ、商品写真を見ていただくと、私たちが何を目指したのかが分かりやすいと思います。
⸻
インビジブルスレッドを、もっと身近なものに
PENTAを開発する中で、私たちが特に意識したのがインビジブルスレッドとの相性です。
インビジブルスレッドは、カードや紙、コインなどを浮かせたり、物体を動かしたりすることができる非常に強力な道具です。
一方で、スレッドマジックには、
「リールを準備する」
「装着する」
「糸をセットする」
といった準備があります。
私たちは、これまでCarreteraのインビジブルスレッドリールを開発してきたからこそ、この部分をもっと身近にできないかと考えました。
PENTAは、その考え方から生まれた一つの答えです。
「スレッドマジックをするために道具を持つ」のではなく、「普段持っているペンにスレッドマジックの機能がある」。
この違いによって、マジックを始めるまでの心理的なハードルを下げられると考えています。
⸻
「突然マジックができる」という強さ
PENTAを使う上で、私たちが特に面白いと思っているのが「予定していなかったマジック」です。
例えば、友人との会話中。
仕事の合間。
食事中。
バーで話しているとき。
「何かマジックを見せて」と言われたときに、専用の道具を取り出す必要がない。
普段使っているペンが、そのままマジック道具になる。
この状態を作れるだけで、マジックの使い方はかなり変わります。
⸻
PENTAは、マジシャンのポケットを軽くするための道具
マジックを覚えるほど、持ち物は増えていきます。
「この現象にはこれ」
「念のためこれも」
「予備にこれ」
気づけば、ポケットの中がマジック道具だらけになっている。
私たちも、マジック道具を作っている側だからこそ、この問題はよく分かっています。
だからPENTAでは、
「新しい道具を一つ増やす」のではなく、「普段持っているものにマジックを追加する」
という考え方を大切にしました。
⸻
そして、PENTAは「マジックを見せるためのペン」ではありません
ここは、私たちが特に伝えたい部分です。
PENTAを持っていること自体を、観客に意識させる必要はありません。
普通に使う。
普通に書く。
普通に持つ。
その中に、マジシャンだけが知っている機能がある。
私たちは、こうした状態を非常に強いと考えています。
マジック道具は、ギミックがすごいほど良いとは限りません。
「存在しているのに、存在を疑われない」
ということも、非常に重要な性能だからです。
⸻
PENTAを手に入れたら、ぜひ「新しいマジック」ではなく「新しい使い方」を考えてほしい
PENTAを購入したら、まず付属の解説を見ていただくことをおすすめします。
そのうえで、
「この機能を自分のレパートリーに組み込めないか?」
と考えてみてください。
カードマジック。
サイン。
予言。
ペンを使ったマジック。
インビジブルスレッド。
日用品を使ったマジック。
PENTAは、使い方を一つ覚えて終わる道具ではなく、マジシャン自身が新しい手順を作っていく余地を残した道具として設計しています。
⸻
「マジック道具を持つ」という概念を変えたかった
私たちCarreteraがPENTAで作りたかったのは、単なる多機能ペンではありません。
マジック道具を、
「特別な日に取り出すもの」
から、
「普段から持っているもの」
へ変えること。
そして、
「マジックをするために道具を用意する」
のではなく、
「普段の行動から自然にマジックが始まる」
状態を作ること。
そのための一つの答えがPENTAです。
⸻
一本のペンから、マジックの可能性を増やす
私たちは、マジック道具を開発するとき、
「もっと複雑なことができるようにする」
だけではなく、
「もっと自然に使えるようにする」
ことを大切にしています。
PENTAは、その考え方をかなり分かりやすく形にした商品です。
見た目はペン。
普段も使える。
ポケットに入れておける。
そして、マジシャンが使えばマジックが始まる。
もし今、
「普段から持ち歩けるマジック道具が欲しい」
「即興で使えるギミックが欲しい」
「日用品を使ったマジックが好き」
「インビジブルスレッドをもっと気軽に使いたい」
「マジック用の荷物を少しでも減らしたい」
と思っているなら、PENTAは一度試していただきたい道具です。
マジックのためにペンを持つのではなく、ペンを持っているからマジックができる。
それが、私たちがPENTAで作りたかったものです。
